徒然に学び……

学んだことを書いていこうと思うブログ。(主に刑法)

共謀罪について簡単なメモ書きまとめ

何かと話題になってきた共謀罪について、適当にまとめて見ようと思います。

ニュース等

共謀罪」法整備必要も提案時期は未定 NHKニュース  http://nhk.jp/N4MJ4KJ0

共謀罪創設、法相「慎重に検討」 パリテロで要望高まる:朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/articles/ASHCN3HBZHCNUTIL005.html

国家公安委員長共謀罪「様々な視点から慎重に検討」:日本経済新聞 http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS20H1E_Q5A121C1EAF000/

【パリ同時多発テロ共謀罪「議論必要だ」と河野国家公安委員長 - 産経ニュース http://www.sankei.com/politics/news/151119/plt1511190045-n1.html

日刊ゲンダイ|テロに便乗して「共謀罪」言い出す 自民党はまるで火事場泥棒 http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/169861

時事ドットコム共謀罪創設は「テロ便乗」=共産幹部 http://www.jiji.com/jc/zc?k=201511/2015112000689&g=pol 

共謀罪要件に犯罪準備 対象は「組織的集団」限定 - 産経ニュース http://www.sankei.com/affairs/news/151120/afr1511200003-n1.html 

山口公明党代表共謀罪創設に「慎重な取り組みが必要」http://mainichi.jp/select/news/20151120k0000m010012000c.html

 

共謀罪の法案等

 共謀罪とは、政府が2005年、2009年に提案、そして審議廃案となった「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(通称:組織犯罪処罰法)」の6条の2において、新設されようとした罪の略称を指します。

(組織的な犯罪の共謀)
第六条の二 次の各号に掲げる罪に当たる行為で、団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した者は、当該各号に定める刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。

一 死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪 五年以下の懲役又は禁錮
二 長期四年以上十年以下の懲役又は禁錮の刑が定められている罪 二年以下の懲役又は禁錮
2 前項各号に掲げる罪に当たる行為で、第三条第二項に規定する目的で行われるものの遂行を共謀した者も、前項と同様とする。

犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案新旧対照条文

第二条  この法律において「団体」とは、共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織(指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体をいう。以下同じ。)により反復して行われるものをいう。

組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律

 そして、共謀とは「特定の犯罪を実行しようという具体的・現実的な合意をすること」*1としている。

 共謀罪の論点

 では、共謀罪の何が問題なのか、簡単にまとめようと思う。

  1. 共謀の定義について
  2. 組織犯罪処罰法の団体の定義
  3. 重大な犯罪の範囲
  4. 実行行為の行われない犯罪の規定
  5. 条約批准における必要性

 1.共謀の定義

 共謀とは、「特定の犯罪を実行しようという具体的・現実的な合意をすること」としているが、この意義は明確ではないと批判されている。

 そもそも、共謀は共謀共同正犯など様々に議論がなされている。その中で共謀罪の規定ができることにより、「共謀」という概念がさらに広がるのではないか、実行行為を前提とする共謀共同正犯による概念をそのまま適用して良いのかも疑問となる。

 この点、政府は現行の解釈と変わることはないとしている

2.組織犯罪処罰法の団体の定義

 そもそも、この法上の団体は、様々な団体への対応を考え、広く範囲を規定している。

 その点で、共謀罪を認めるとなれば、憲法に保障される集会・結社の自由を制限しかねないという批判がある。

 この点、明確であるとして、政府は問題ないとしている。

3.重大な犯罪の範囲

 法案によると、2項で、「長期四年以上十年以下の懲役又は~」とある。これについて、我が国の刑事処罰の法定刑は広く、裁判によって初めて量刑判断で軽くも重くもできるようになるものが多い。

 そのため、本規定では、組織犯罪の重要な犯罪以外をも含む危険性があると考えられる。それによると、文書偽造、窃盗、横領、詐欺、強制わいせつ、保護責任者遺棄、収賄なども含まれる。(刑法犯すべてで600を超えるとされる*2

 これら膨大な数の犯罪に対し、適用されるとなると国民の思想・信条の自由、表現の自由の制限になり得るのではないか、と批判がなされている。

 この点、政府は法文は厳格な要件にあるため、国民の一般生活には影響がないとしています。

4.実行行為の行われない犯罪の規定

 そもそも刑法学においては、実行行為により結果が発生したことを処罰することが基本的な考えとなっている。そのため、実行行為が行われない段階(謀議のみ)で処罰をするのは、刑法のこれまでの概念を覆すようなことではないかと批判されている。 

 この点、共謀共同正犯や予備罪などで実行行為以前に処罰が現行刑法でも可能であることから問題がないとしている。

5.条約批准における必要性

 本法案は、国連越境組織犯罪防止条約の批准のために立案されたものである。その批准にほんとうに必要なのかについて議論がある。

 この点、政府としては必要としている。

 参考:法務省共謀罪に関するQ&A http://www.moj.go.jp/content/000001561.pdf

    法務省:過去の国会提出法律案(平成10年3月から平成20年3月までに提出されたもの)

 

 以上、適当にまとめました。

 時間書けずに書いたため、正誤に関してあると思いますが、調べるにあたっての簡単なひっかかりとなるためのまとめですので、ご注意を。

 加えて、この記事は、新たな法案提出前のものであり、次国会で提出される(?)であろう法案とは違うため、論点や問題点について変更、改善があるものと思われます。

 

 さて、私としては、重大犯罪の予備罪の共謀共同正犯では、ダメな理由がよくわからないといったところです(勉強します)。

責任能力について(第39条)その1

Ⅰ はじめに

 我が国の刑法では責任主義が取られている。

 これは、「責任なければ、刑罰なし」という格言からもわかるように、「責任が存在しなければ、国家が刑罰を課すことはできない」という意味である。

 責任主義は、近代刑法においては、罪刑法定主義と並ぶ重要な原則である。罪刑法定主義は法条を定めることにより客観的に国民の行動予測を保障し、責任主義は故意過失を求めることで主観的に行動予測を保障している*1

 ここにおいて、様々な議論があるが、それは省略する。

 本記事では我が国の刑法典における責任主義の現れとも言える刑法第39条について述べていくことにする。

 注意)改まって書いてはいますが、ただのまとめですのでご了承ください。

 

Ⅱ 責任能力の意義・判例の判断基準

第39条1項「心神喪失者の行為は、罰しない。」

   2項「心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。」

 

 責任能力とは、「責任非難のために要件とされる行為者の能力」*2である。

  責任能力について、刑法では第39条にそれぞれ、「心神喪失者」「心神耗弱者」と区別し、責任阻却事由と責任減少事由として定められている。つまり、責任能力がなければ、刑罰を課せないとするものであり、我が国において犯罪成立要件として機能する。

 

 判例によると、「心神喪失者」とは、「精神障害によって事物の理非善悪を弁識する能力またはこの弁識にしたがって行動する能力を欠如する場合」をいい、「心神耗弱者」とは、「精神障害によってこの弁識能力または制御能力が著しく減退した状態」をいう*3

 これはいわゆる混合的方法の採用を示す。

 混合的方法とは、精神障害という生物学的要素と弁識・制御能力という心理学的要素の両者を併用することである*4

 この「心神喪失者」と「心神耗弱者」に当たるかどうかは、被告人の病歴、犯行態様、行動、犯行以後の病状、動機、犯行時の病状など総合考察するものとされる*5

 そして、この判断に関しては法律判断とされる*6。つまり、裁判所は病理的な鑑定による責任能力判断に従う必要はなく、生物学的要素及び心理学的要素の判断も法律判断として裁判所が決めることができうるとしたのである。

 ただし、実際には鑑定を尊重した判決がほとんどである*7

 

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 とりあえず、今日はここまで続きはまたいつかまとめます。

 それにしても、鑑定を省みることを別にしなくてもいいというのは、中々国家権力っぽくていいですよねえ。(是非ではなくて)

*1:西田典之「刑法総論」[第2版]48頁

*2:山口厚「刑法総論」[第2版]252頁、西田前掲280頁、井田良「講義刑法学・総論」366頁

*3:大判昭和6年12月3日刑集10巻682頁

*4:林美月子「責任能力」『ジュリスト増刊「刑法の争点」』(2007年10月30日)82頁,有斐閣

*5:最判昭和53年3月24日刑集32巻2号408頁参照

*6:最決昭和58年9月13日判時1100号156頁

*7:林前掲 83頁

はじめまして

はじめまして

 少し、勢い任せにブログを開設。

 学ぶだけ学んでも発表(自身の言葉で書く)しなければ、何も残らないような気がしたのでそれを時間を見つけて書いていこうと考えているところである。

 学術的にどれほども寄与することはない。(恐れ多すぎる)

 ただ徒然に自由なネットの言論空間を利用して書いていこうと今は考えている。

 しかし、どれほどのものをかけるかは不明であるので、各内容については一切の責任を負わないつもりである。

 信用もしないで欲しい。自己責任で調べ探求してもらいたいことは、はじめに書いておきます。

 そんなこんなで言い訳も済んだので、自由に書いていきます。

 

 今日はここまで。

 締めは、一番好きな言葉で。

 

I disapprove of what you say, but I will defend to the death your right to say it.(私はあなたの意見には反対だ。だが、あなたがそれを主張する権利は命をかけて守る。)」*1

 

 

 

*1:ヴォルテール名言・格言(英語も)哲学者の言葉 | 名言+Quotes